ドロップスクリーン検査、Viewアレルギー39について
- 2025年5月12日
- クリニックだより
※乳幼児の食物アレルギー診断に用いない理由※
離乳食を始める前や、保育園入園前などに、アレルギーが出る食品があるかどうかあらかじめ検査で知っておきたいというご要望や、湿疹がよく出るので原因を調べたいというご要望があります。
しかし、実際に食べて症状が出ていない状態で検査をしても、正しい診断ができないことが多いのです。
湿疹の原因に関しましても、母乳育児の乳児に関しましては、母乳から移行した、卵、牛乳、小麦、大豆などが原因となることはありますが、それ以上のお子さんに関しましては、特定の物を食べると明らかに湿疹が悪化するというエピソードが無ければ、特異的IgEが陽性でも湿疹の原因とは言えません。
アレルギー検査では、「IgE抗体」といって特定のアレルゲンに対してアレルギー反応を起こす抗体があるかどうか、またどの程度の量の抗体が存在するかを調べます。
乳児期早期では、まだ抗体を産生する能力が低く、正確な診断につながらないことが多いのが理由の1つです。
また、ドロップスクリーン検査は、特に食物アレルゲンに関しては偽陽性 が出ることも多く、食物アレルギーの診断や治療経過の評価には向きません。
そしてIgEの値と、実際に摂取して症状がでるかどうかというのは、必ずしも一致しません。IgE値が高くても問題なく食べられるケースもありますし、IgE値が上がっていなくても食べると症状が出るケースもあるため、食物アレルギーの有無は採血の結果だけでは正確な診断ができないことが多いのです。
スクリーニング検査でIgEが陽性になっている=食物アレルギーと判断し、食べないようにしようと早合点して、不要な除去をしてしまう患者さんがでてきてしまうことが問題です。
特にこれから様々な食品を食べすすめていく乳幼児期に、採血結果のみでアレルギーを判断してしまうと、本当は問題なく食べられるのに、不要な除去を何年もするようなことにもつながりかねません。また、すでに今まで問題なく食べられていたのに、検査をして陽性になっているのを見ると、急に不安になって食べさせるのが怖くなり除去するようなケースも出てきてしまいます。実際アレルギー専門医ではない他の病院で診断され、今まで食べていたものが怖くて食べさせられなくなり、当院に相談に来られる方がいらっしゃいます。
こういった不要な除去は、親御さんの食事の負担を増し、こどもの栄養状態や発育にも悪影響を与えることがあるため、絶対に避けなければなりません。
このような理由から、食物アレルギーの診断および、乳児期のアレルギー検査に対しては、ドロップスクリーン検査を当院では基本的に使用していません。
Viewアレルギー39検査についても、同様です。当院で扱いはありますが、6歳以上の患者さんに限らせて頂いています。