花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS) 宝塚市西宮市仁川の小児科・アレルギー科 星空こども・アレルギークリニック

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花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)

花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS) 宝塚市西宮市仁川の小児科・アレルギー科 星空こども・アレルギークリニック

花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)について

お子さんが果物や野菜を食べたときに、口の中がかゆい、のどがイガイガする、唇が腫れるといった症状を経験したことはありませんか?その場合、「花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS:Pollen-Food Allergy Syndrome)」が関係しているかもしれません。PFASは「口腔アレルギー症候群(OAS)」とも呼ばれ、花粉アレルギーを持つ方に見られる特徴的なアレルギー反応です。

PFASが起こる仕組み

花粉の中に含まれるアレルゲン(アレルギーの原因となる成分)と、特定の果物や野菜に含まれるアレルゲンには、似た構造の部分があります。そのため、花粉にアレルギーがある人が似た構造を持つ果物や野菜を食べると、体が「花粉が入ってきた」と誤解してアレルギー症状を引き起こしてしまうのです。これを「交差反応」と呼びます。
PFASの症状は主に口やのどに出るのが特徴で、全身症状や強いアナフィラキシーまで進むことはまれですが、注意が必要です。

症状の特徴

PFASの症状は以下のようなものがあります。

  • 口の中やのどのかゆみ・イガイガ感
  • 唇や舌の腫れ
  • 耳の奥がかゆくなる

通常は食べてすぐに症状が現れ、数分から30分程度で自然におさまることが多いですが、まれに全身に広がることもあるため、油断はできません。

なぜ生の果物や野菜で起こりやすいのか?

PFASの原因となるアレルゲンは「熱」や「消化」に弱い性質を持っています。そのため、

  • 加熱すると壊れる:ジャムやコンポート、缶詰などの加熱処理された食品は、症状が出にくいことが多いです。
  • 消化で壊れる:口やのどに症状が出ても、飲み込んで消化されるとアレルゲンが壊れるため、胃や腸で強い症状が出ることはまれです。

代表的な「花粉と食べ物の組み合わせ」

花粉の種類によって、反応が出やすい食べ物は異なります。代表的な例を以下にまとめます。

  • スギ花粉:トマト
  • ヒノキ花粉:モモ、リンゴ、オレンジ
  • シラカンバ・ハンノキ(カバノキ科):リンゴ、モモ、サクランボ、大豆製品(特に豆乳)
  • イネ科花粉:トマト、スイカ、メロン、オレンジ
  • ヨモギ・ブタクサ:メロン、スイカ、セロリ

花粉症のシーズンに症状が強まることもあります。

阪神地区はハンノキの植生が多いため、ハンノキ花粉によるPFASの発症が多い傾向にあります。

診断方法

PFASが疑われる場合、医師は以下のような方法で診断を進めます。

  • 血液検査でアレルギー反応を確認
  • 皮膚テスト(プリックテスト)で原因食物や花粉を調べる
  • 必要に応じて「食物経口負荷試験」を行う(医師の監督下で少量を食べて症状を確認する検査)

自己判断で原因食物を大幅に除去してしまうと、栄養バランスを崩す恐れがありますので、必ず専門医の診断を受けましょう。

治療と生活での工夫

PFASに対する基本的な対応は「原因となる食品を避けること」です。ただし、すべてを制限する必要はありません。

  • 新鮮な生の果物や野菜は注意:特に皮の近くにアレルゲンが多いため、皮をむいて食べるだけでも症状が軽くなる場合があります。
  • 加熱食品は大丈夫なことが多い:ジャム、缶詰、煮込み料理などは食べられるケースが多いため、完全に避ける必要はありません。
  • 豆乳に注意:特にシラカンバ・ハンノキ花粉にアレルギーがある方は、豆乳で強い症状が出ることがあるので注意が必要です。

保護者

の方

へのアドバイス

お子さんが「口がかゆい」「のどがイガイガする」と訴えたら、まずPFASを疑いましょう。症状が軽くても、繰り返すようであれば小児科やアレルギー専門医に相談することが大切です。まれに強い症状(全身のじんましん、呼吸苦、血圧低下など)が出ることもあるため、その場合は救急対応が必要です。

花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)は、花粉症と食物アレルギーが関連して起こる反応であり、主に口やのどの症状が中心です。正しい知識を持ち、無理のない範囲で食品を工夫して取り入れることで、安心して日常生活を送ることができます。お子さんの「ちょっとした違和感」を見逃さず、早めに相談・対応してあげることが、安心・安全につながります。