長引く咳の原因
長引く咳の原因
咳は体の外から入ってきた異物(ほこり、煙、風邪のウイルスなど)を気道から取り除こうとする生体防御反応の一つです。異物が気道に入り込むと、咽頭や気管、気管支などの気道の粘膜表面にある咳受容体が刺激され、そこから信号が脳にある咳中枢に伝えられ咳が出ます。
咳は風邪をひいたときによく出るため、咳が続いていても風邪が長引いていると軽く考えられがちですが、2週間以上続く咳は風邪が原因でない可能性があります。
長引く続く咳にお悩みの場合は、「咳の種類」を見極めることが大切です。
コンコンと乾いた咳(乾性咳嗽):痰が出ない・少ないことが特徴で肺や気管に炎症が起きている可能性があります。
痰が絡む湿った咳(湿性咳嗽):痰が絡む「ゴホンゴホン」といった音の咳が特徴で、鼻・喉に炎症が起こっている可能性があります。
以下の症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
急性の鼻咽頭炎や急性上気道炎としても知られ、ウイルスが原因です。ウイルスによる咳は50%が10日以内に、90%が25日以内に治まりますが、気道が過敏になることで慢性化することもあります。慢性的な咳がある場合は小児科を受診しましょう。
風邪症候群から進展することが多く、強い咳と発熱が特徴です。咳が続く場合には百日咳やマイコプラズマ肺炎なども疑われ、症状が似ている場合があるので、風邪からの咳が続いている場合には注意が必要です。咳が3週間以上続く場合や、呼吸困難、発熱がある場合は医師の診察を受けてください。
「ケンケン」という咳や嗄声(させい)を伴うことが多く、重症化するとオットセイの鳴き声のような咳が出ることが特徴で、呼吸困難を起こす場合もありますので早めに受診するようにしましょう。
黄色い鼻水や後鼻漏、鼻づまり、頭痛を引き起こし、痰が絡む咳が長引く原因となります。後鼻漏は鼻水が鼻から出るのではなく、喉に落ちるものです。鼻炎から鼻水の量が増えることで、寝ている間に鼻水が喉に溜まり、鼻水が痰のように粘り気を持ちます。喉に溜まった鼻水や痰を吐き出そうとして咳が増えることがあります。抗生剤治療が必要な場合もありますが、自然治癒することもあります。症状が10日以上続く、または強い顔面痛がある場合は受診を検討してください。
百日咳菌による感染症で、激しい咳が数週間から数か月続きます。生後6か月から3歳までのお子さんがかかりやすいです。息継ぎもできないくらい激しい咳込みが生じ、咳がひどくて夜眠れないこともあります。
慢性的な気道の炎症で、発作的に気管支が狭くなり、息切れ、ゼーゼーと音がする呼吸、咳が発生します。発作時の治療としては気管支拡張剤の内服もしくは吸入、長期的な治療としてはアレルゲンの回避、抗アレルギー薬の内服、吸入ステロイドなどが主要な治療法で、症状が出ないようにする管理が必要です。発作が頻繁に起こる場合や夜間症状がある場合は専門医を受診しましょう。
花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状です。症状が生活に支障をきたす場合や、通常の対策で改善しない場合は受診を検討してください。
気管支喘息と違い、ゼーゼー、ヒューヒューと音がする呼吸は無く、呼吸困難を伴わない咳が長期間にわたって続く病気で、夜間に悪化することが多いです。気管支喘息の前段階とされることがあります。2週間以上咳が続く場合は早めに受診しましょう。
長引く咳の原因は様々で、似たような症状があるため、間違った認識をしてしまったり、ただの咳だと軽く考え放置してしまったりすると、余計に治療に時間がかかってしまう可能性があります。気になる症状がある場合は、気軽に当院にご相談ください。必要に応じて関連の専門医療機関と連携し、適切な診断と治療を行います。