
アトピー性皮膚炎治療の選択肢について
アトピー性皮膚炎治療の選択肢について
アトピー性皮膚炎は、慢性的な皮膚の悩みとして知られており、かゆみや炎症、乾燥肌などの症状が日常生活に大きな影響を与えます。
当院では、症状に合わせてさまざまな治療方法をご案内しています。
治療方法は大きく分けて、塗り薬による治療(外用療法)、注射(デュピクセント、ミチ―ガ、イブグリース)などによる治療、飲み薬(経口JAK阻害薬)による治療の3つに分けられます。
アトピー性皮膚炎の詳しい疾患説明についてはこちらをご覧ください。
お薬の種類 | 特徴 |
---|---|
保湿剤 | 皮膚の保湿力を高め、バリア機能を改善します |
その他の抗炎症外用薬 | プロトピック軟膏 コレクチム軟膏 モイゼルト軟膏 3種類とも、炎症とかゆみを抑える効果があります |
ステロイド外用薬 | 皮膚の炎症を抑える 自己判断で使用を中止せず、必要な量を適切な期間、使用し続けることが大切です 5段階に分類(個々の皮疹の重症度に見合ったランクを選択) |
適切な治療を行っていても十分な効果が得られない場合、近年注目を集めているのが生物学的製剤による治療です。
製品名 | 対象年齢 | 注射の間隔 | 特徴 |
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デュピクセント | 生後6か月(体重5㎏)以上 | 2~4週間 | 炎症、かゆみ、バリア機能の低下に効果が期待できる |
ミチーガ | 6歳以上 | 2週間 | かゆみの抑制効果が高い |
イブグリース | 12歳(体重40㎏)以上 | 2~4週間 | かゆみ、バリア機能の低下に効果が期待できる |
製品名 | 対象年齢 | 内服頻度 | その他 |
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サイバインコ錠 (アブロシチニブ) |
12歳以上 | 1日1回内服 | 投与前、投与中の定期検査が必要 |
オルミエント錠 (バリシチニブ) |
15歳以上 | ||
リンヴォック錠 (ウパダシチニブ) |
15歳以上 |
当院では、「外用療法(塗り薬による治療)」に加えて、「生物学製剤(デュピクセント)」を取り入れています。
デュピクセントは、皮膚炎を起こすサイトカインの過剰な働きを直接抑えることで、アトピー性皮膚炎の症状を軽減する新しいタイプのお薬です。デュピクセントの治療により、患者さんが最も悩む症状である“かゆみ”が著しく改善されます。
また、皮膚の乾燥や炎症を抑えることで、肌トラブルのない健康的な状態が促進され、皮膚の状態が改善されます。さらに症状が軽減されることで日常生活におけるストレスや不安が軽くなり、全体的な生活の質が向上することも期待されます。
このようなお悩みをお持ちの方に「デュピクセント」はおすすめです。
デュピクセントの投与によって、以下のような副作用が現れる可能性があります。
またアナフィラキシー反応による症状は、起こる可能性は極めて低いものの必ず注意が必要な症状です。お気付きの際は、速やかに医療機関を受診してください。
デュピクセントの治療にかかる費用は、お薬代で自己負担3割負担の方で初回は約3.5万円、2回目以降は約1.7万円です。2週間に1回継続的に投薬する必要があるため、目安として治療を開始した月は約5.2万円、翌月からは約3.5万円です。
お薬代の他に診察料など別途費用がかかってきますが、保険適用で各種医療証が使用できるため、医療証をお持ちの場合は上記の目安よりも自己負担が少なく済む可能性があります。
デュピクセントは高額な治療ですが、患者さまの経済的な負担を軽減するため、さまざまな医療費の助成制度があります。患者さまの収入にもよりますが、限られた費用負担で継続が可能になるケースがあります。1年間で支払った医療費の総額により還付金を受け取れる医療費控除や、1ヵ月の間に医療機関の窓口で支払った額が、一定の金額を超えた場合に、金額が払い戻される高額療養費制度を使うことをご検討ください。
1ヶ月に医療機関へ支払った金額(自己負担額)が一定額を超える場合に超過分の払い戻しがされる制度です。詳しくは加入している保険者窓口もしくは厚生労働省のHPをご確認ください。なお、高額療養費制度の上限額は年齢や収入などによって異なります。詳しく試算をしたい方はこちらからシミュレーションください。
宝塚市では、宝塚市内にお住まい、かつ公的医療保険に加入している0歳から小学校3年生までは「乳幼児等医療費助成制度」、小学校4年生から中学校3年生までは「こども医療費助成制度」を受けることが可能です。なお、令和6年1月からは制度拡充により、保護者の所得に関わらず、全てのこどもを対象に医療費助成等の制度を活用いただくことが可能です。
西宮市では、西宮市内にお住まい、かつ公的医療保険に加入している0歳から小学校3年生までは「乳幼児等医療費助成制度」、小学校4年生から中学校3年生までは「こども医療費助成制度」を受けることが可能です。
伊丹市では、伊丹市内にお住まい、かつ公的医療保険に加入している0~15歳(中学3年生まで)は「乳幼児等・こども医療費助成制度」を受けることが可能です。なお、令和5年7月からは制度拡充により、保護者の所得に関わらず、全てのこどもを対象に医療費助成等の制度を活用いただくことが可能です。
同一世帯の年間医療費の総額が10万円を超える場合、領収書を添付して確定申告を行えば、所得状況に応じ税金の一部が還付される制度です。医療機関、診療科などの区別はないため、薬局・薬店で購入した風邪薬などの購入代金、入院時の際の部屋代・食事代、その他医療機関への交通費も一部認められます。領収書は捨てずに、ご家族の分も全てまとめて保管しておくことをおすすめいたします。
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これまでの治療歴や症状を確認し、デュピクセントが保険適応になるか判断します
※原則として6か月以上のステロイドなどの塗り薬による治療歴がある方が対象となります。
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デュピクセントの投与スケジュールや副作用の説明をします
このような内容を詳しくお伝えします。
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投与開始
小児の場合、投与の頻度と投与量は体重によって変わります。体重によって、下記のように変わります。
できる限り患者さんのご希望に沿いたいと考えていますが、2回目までの注射は院内で行います。3回目以降で在宅自己注射をご希望の方はご自宅で注射していただくことが可能です。
※デュピクセントは継続的な使用によって効果が期待できます。症状が改善したからといって、自己判断で使用をやめると再発のリスクがあります。必ず医師の指示に従い、適切なスケジュールで治療を続けることが大切です。