ドロップスクリーン検査とは?指先1滴・41項目のアレルギー検査でわかること、わからないこと
- 2026年10月23日
- クリニックだより
「注射をしなくてもアレルギーが調べられる検査がある」と聞いて、気になっている保護者の方は多いのではないでしょうか。ドロップスクリーン検査は、指先から採った1滴の血液で41項目のアレルゲンを一度に調べられる検査です。
ただし、どんなお子さまにも、どんな場面にも向いている検査というわけではありません。特に乳幼児の食物アレルギーの診断では、この検査の結果だけで判断すると、本当は食べられるものまで除去してしまうことがあります。
このページでは、ドロップスクリーン検査のしくみと、わかること・わからないことを整理したうえで、当院がどう考えているかをお伝えします。気になるときはご相談ください。

ドロップスクリーン検査とは
ドロップスクリーン検査は、指先に細い針を刺して採った少量の血液を使い、アレルゲンに対する特異的IgE抗体を測定する検査です。専用の測定装置を院内に置いて実施します。
腕からの採血をしなくてよい
いちばんの特徴は、腕の静脈に針を刺す採血(駆血帯を巻いて注射器で採る採血)をしなくてよい点です。指先を小さく刺して、にじんできた血液を採ります。必要な量はおよそ20マイクロリットル、しずく1滴ほどです。
腕の血管が細く採血がむずかしい年齢のお子さまや、注射をこわがるお子さまでも受けやすいことから、小児科や耳鼻咽喉科、皮膚科で導入が広がってきました。
調べられるのは41項目
一度の検査で調べられるのは41項目です。内訳は、花粉・ハウスダスト・ダニ・カビ・動物の毛といった吸入系とその他が19項目、卵・牛乳・小麦・大豆・甲殻類・ナッツ類などの食物系が22項目です。
季節性のアレルギー性鼻炎や結膜炎の原因を広く探したいとき、通年性の鼻炎の原因を絞りたいときなど、「まず全体像を知りたい」場面に向いた組み合わせになっています。
結果が出るまでの時間
院内に測定装置がある場合、結果が出るまでのめやすは30分から1時間程度です。外部の検査会社に出す一般的な血液検査は結果まで数日かかるため、その日のうちに結果を聞けることも、この検査が選ばれてきた理由のひとつです。
従来の血液検査(特異的IgE検査)との違い
「アレルギーの血液検査」と呼ばれるものには、いくつかの種類があります。整理すると次のようになります。
- 特異的IgE検査(腕からの採血):調べたい項目を医師が選んで測定します。項目は自由に組み合わせられ、精密に測れます。結果は数日後です。
- View39などのセット検査:あらかじめ決められた39項目を、腕からの採血でまとめて測定します。当院では6歳以上の患者さんに限って行っています。
- ドロップスクリーン検査:指先の1滴で、あらかじめ決められた41項目をまとめて測定します。結果が早く出ます。
どれも「血液中のIgE抗体の量を測る」という点では同じ仲間の検査です。違うのは、採血の方法と、項目を選べるかどうか、そして結果までの時間です。

ドロップスクリーン検査でわかること、わからないこと
ここが、この検査でいちばん誤解が生まれやすいところです。
わかること
わかるのは「その物質に対するIgE抗体が、血液の中にどれくらいあるか」です。これを感作(かんさ)といいます。体がその物質に反応する準備をしている状態、という意味です。
わからないこと
わからないのは「実際に食べたり吸い込んだりしたときに、症状が出るかどうか」です。これを発症といいます。
感作と発症は、別のものです。IgE抗体の数値が高くても症状がまったく出ない方もいれば、数値がそれほど高くなくても強い症状が出る方もいます。つまり、検査の数値は診断の材料のひとつであって、数値だけで「アレルギーである」と決まるわけではありません。
特に食物アレルギーでは、この差が大きく出ます。数値が高いというだけで食べ物を除去してしまうと、本来なら食べられたはずの食材を長く避けることになり、お子さまの食生活や成長にとって望ましくない結果につながることがあります。
当院がドロップスクリーン検査を使っていない理由
当院では、ドロップスクリーン検査を基本的に使用していません。理由は、食物アレルゲンに関して偽陽性(実際には症状が出ないのに、検査では陽性と出ること)が多く見られ、乳幼児の食物アレルギーの診断や、治療経過の評価には向かないと考えているためです。当院は小児のアレルギーを専門としており、来院されるお子さまの多くは、食物アレルギーの診断や、食べられる量を増やしていく過程の評価を目的にしています。その場面で「広く浅く調べて、陽性がたくさん並ぶ」検査は、必要のない除去を生みやすくなります。
当院の基本方針は、必要最小限の除去です。数値だけを見るのではなく、いつ・何を・どれくらい食べたときに、どんな症状が出たのかという経過をていねいにうかがい、そのうえで必要な検査を選んでいます。
なお、41項目をまとめて調べるセット検査そのものを否定しているわけではありません。当院ではView39(吸入系19項目・食物系20項目)を扱っており、6歳以上の患者さんに限ってお受けしています。年齢を区切っているのも、同じく偽陽性の影響を考えてのことです。

では、お子さまのアレルギーは何で調べるのか
当院で行っている主なアレルギー検査は次のとおりです。お子さまの年齢や症状に合わせて、必要なものを選んでいきます。
- 特異的IgE抗体検査(血液検査):生後6か月頃から可能です。少量の採血で、必要な項目を選んで調べます。
- プリックテスト(皮膚テスト):新生児から実施できます。皮膚に少量のアレルゲンをのせて反応を見る検査で、痛みが少なく、赤ちゃんにも行いやすい検査です。
- prick to prick test:血液検査の項目にない食材でも、実物を使って反応を確認できます。
- パッチテスト:遅れて出るタイプの反応(接触皮膚炎など)の原因を調べます。
- アレルゲンコンポーネント検査:症状を起こしやすい特定のたんぱく質を調べ、重い症状が出るリスクの手がかりにします。
- 食物経口負荷試験:医師の管理のもとで実際に食べていただき、症状の有無と安全に食べられる量を確認します。食物アレルギーの確定診断にあたる検査です。
- 呼吸機能検査・呼気NO検査:ぜん息の診断と経過の管理に使います。
くわしくは当院でできる検査のページにまとめています。
受診の目安
次のようなときは、一度ご相談ください。
- 特定の食べ物を食べたあとに、じんましん・嘔吐・咳・ぐったりするなどの症状が出たことがある
- 湿疹がなかなかよくならない
- くしゃみ・鼻水・鼻づまりが季節ごとに、または一年を通して続いている
- 咳やゼーゼーが繰り返し起こる
- 健診や他院の検査で数値が高いと言われたが、どう考えればよいかわからない
すでに他の医療機関でドロップスクリーン検査を受けていて、その結果をお持ちの場合も、そのまま持参してください。結果を無駄にせず、症状の経過と合わせて読み解いていきます。
よくある質問(FAQ)
Q.当院でドロップスクリーン検査を受けられますか。
当院では基本的に実施していません。食物アレルゲンで偽陽性が多く、乳幼児の診断や経過の評価に向かないと考えているためです。お子さまの症状に合わせて、より適した検査をご提案します。
Q.他院でドロップスクリーン検査を受けました。もう一度検査が必要ですか。
結果をお持ちいただければ、まずはその内容と症状の経過を照らし合わせて確認します。追加の検査が必要かどうかは、そのうえで判断します。必ずしも受け直しが必要になるわけではありません。
Q.41項目すべてを調べたほうが安心ではないですか。
項目が多いほど安心とは限りません。症状と関係のない項目まで陽性と出ると、必要のない除去や不安につながることがあります。当院では、症状から必要な項目を絞って調べる方法をおすすめしています。
Q.検査は保険が使えますか。
アレルギーの診察・検査・治療は原則として保険診療で行っています。お住まいの自治体によっては、小児の医療費助成の対象になる場合が多くあります。費用の詳細は受診時にご説明します。
Q.何歳から検査を受けられますか。
血液検査(特異的IgE検査)は生後6か月頃から、プリックテストは新生児から実施できます。年齢だけでなく症状の内容によっても選ぶ検査が変わりますので、まずはご相談ください。
まとめ
ドロップスクリーン検査は、指先1滴で41項目を短時間に調べられる検査です。腕からの採血が不要で、結果が早く出るという利点があります。一方で、この検査でわかるのは「感作」であって「発症」ではありません。特に乳幼児の食物アレルギーでは、数値だけを見て判断すると、必要のない除去につながることがあります。当院がこの検査を基本的に使っていないのは、この点を重く見ているためです。大切なのは、検査の数値と、お子さまの実際の症状の経過を合わせて読み解くことです。症状には個人差がありますので、気になることがあれば自己判断せず、医療機関にご相談ください。
受診のご案内
星空こども・アレルギークリニックは、阪急今津線 仁川駅の東口改札を出て左手すぐ、徒歩約30秒の場所にあります。宝塚市仁川エリアのほか、西宮市や甲東園・西宮北口方面からも通っていただいています。
小児アレルギーを専門とする医師が、お子さまの症状に合わせて必要な検査を選び、必要最小限の除去を基本にご一緒に方針を考えていきます。アレルギー科のページに診療内容をまとめていますので、あわせてご覧ください。
ご予約はWeb予約から24時間お取りいただけます。はじめて受診される方は初めての方へもご確認ください。
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監修・医師紹介
院長 塚本 容子(つかもと ようこ)(日本小児科学会認定 小児科専門医/日本アレルギー学会専門医/エピペン処方登録医/免疫療法薬登録医(舌下免疫療法)/コンサータ・ビバンセ処方登録医(ADHD治療薬)/大阪府発達障がい精神科医師養成研修修了認定)
1999年兵庫医科大学卒。神戸大学医学部附属病院小児科、兵庫県立こども病院、神奈川県立こども医療センター、国立成育医療研究センターアレルギー科など、小児医療の中核施設で研鑽を積み、小児アレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・気管支喘息)を専門としています。大阪精神医療センター児童思春期精神科で発達外来を担当しており(現任・木曜午前)、乳幼児から小学生の発達相談にも対応しています。所属学会は、日本小児科学会・日本アレルギー学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会です。気になる症状は自己判断せず、お気軽にご相談ください。
経歴・保有資格の詳細はこちら → https://hoshizora-kodomo.com/doctor/
参考文献
- 厚生労働省「リウマチ・アレルギー対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/ryumachi/index.html - 日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン」
https://www.jspaci.jp/ - 日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/