赤ちゃんの離乳食「食べ合わせ」の正解は?新しい食材の試し方とお薬の飲ませ方
- 2026年9月4日
- クリニックだより

「新しい食べ物は一度にたくさん試してもいいの?」「これとこれを一緒に食べさせても大丈夫?」「お薬を嫌がって毎回大変…」——離乳食やお薬をめぐる小さな疑問は、初めて子育てをする保護者の方にとって尽きないものです。この記事では、宝塚市の小児科・アレルギー科である当院が、新しい食材の正しい試し方(食べ合わせのポイント)と、気をつけたい食品、お薬の上手な飲ませ方までをまとめて解説します。
新しい食材は「1つずつ」がなぜ安心?
離乳食で新しい食材を試すときは、一度に何種類も与えず、1回に1種類だけにするのが基本です。理由はシンプルで、万一アレルギー反応が出た場合に、どの食材が原因なのかを特定しやすくするためです。すでに食べ慣れている食材と組み合わせて与えるのは問題ありません。
離乳食の開始時期を遅らせたり、特定の食品を避けたりすることに、食物アレルギーを予防する科学的な効果は示されていません。心配なあまり自己判断で食事を制限してしまうと、かえって赤ちゃんの成長・発達に影響することもあるため、適切な時期に適切な食材を、正しい進め方で試すことが大切です。
新しい食材の試し方:4つのポイント
1. 昼間、病院を受診できる時間帯に
赤ちゃんの様子が急変した場合にすぐ受診できるよう、初めての食材は、かかりつけ医の診療時間内(平日の午前中など)に与えるようにしましょう。
2. ごく少量からスタート
ごく少量では大丈夫でも、量が増えるとアレルギー反応が出ることがあります。様子を見ながら、少しずつ量を増やしていきましょう。
3. しっかり加熱して
加熱するとたんぱく質が変性し、アレルギーを起こしにくくなります。卵はまず、よく加熱した卵黄を耳かき1杯程度から始めるのが安心です。
4. 1回に1種類だけ与える
万が一アレルギー反応が出た場合に原因食材を特定できるよう、初めての食材は1種類ずつ与えましょう。次の新しい食材を試すのは、数日あけてからにすると安心です。
気をつけたい症状
初めての食材を与えたあと、次のような様子がないか観察しましょう。
- じんましんや発疹、肌の赤み
- 唇や顔の腫れ
- 咳、ゼーゼーする呼吸
- 嘔吐、下痢、腹痛
- 機嫌が悪い、ぐったりしている
症状が出た場合や判断に迷う場合は、自己判断で対応を続けず、医療機関にご相談ください。
表示義務のある食品にも注目
食物アレルギーを引き起こす恐れが特に高い食品は、「特定原材料」として法令で表示が義務づけられています。手作りの離乳食だけでなく、加工食品を使う際にも表示を確認する習慣をつけましょう。
表示義務のある9品目:えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)、カシューナッツ(2026年4月1日より)
このほか、アーモンド、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、もも、りんごなど20品目は、表示が奨励されています。
「食べ合わせ」の迷信、気にしすぎなくても大丈夫
「うなぎと梅干し」「天ぷらとスイカ」のように、昔から言い伝えられている食べ合わせのタブーを気にされる方もいらっしゃるかもしれません。こうした言い伝えの多くは科学的な根拠が乏しく、現代の栄養学的には特に気にする必要はないとされています。
また、妊娠中・授乳中の母親が、子どものアレルギー疾患予防のために特定の食品を過剰に摂取したり、避けたりすることの効果も示されていません。バランスの良い食事を心がけることが、何より大切です。

1歳未満は避けたい食品:はちみつ
はちみつには、ごくまれにボツリヌス菌の芽胞が含まれていることがあります。1歳未満の赤ちゃんは腸内環境が未発達なため、この芽胞が腸の中で増えて毒素を作り、「乳児ボツリヌス症」を発症することがあります。ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く、加熱しても死滅しないため、はちみつを含む食品は、1歳を迎えるまでは与えないようにしてください。
便秘が数日続く、全身の力が入らない、哺乳する力が弱まる、泣き声が小さくなるといった症状がみられた場合は、早めに医療機関を受診してください。
お薬の「飲ませ方」の工夫
赤ちゃんや小さなお子さまがお薬を嫌がるのは、よくあることです。無理に飲ませようとする前に、次のような工夫を試してみましょう。
- ジュース、ヨーグルト、アイス、ゼリーなど、好きな味に混ぜる
- 薬局やドラッグストアで購入できる服薬補助ゼリーを使う
- 食品の上に薬をのせ、さらに食品をかぶせて「サンドイッチ」にすると、苦みやざらつきを抑えやすい
- 色の強い薬は、イチゴヨーグルトやチョコレートなど色のついた食品で見えにくくする
- 5歳前後からは、体調に応じて錠剤やカプセルへの変更も選択肢になる
薬と一緒に与える時に注意したい組み合わせ
飲食物に混ぜてお薬を飲ませる際は、次の2点に注意してください。
- 1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを含む飲食物を使わない(乳児ボツリヌス症の危険があるため)
- 薬によっては、飲み合わせの悪い飲食物がある。たとえば「アジスロマイシン」という抗生剤は、オレンジジュースやヨーグルトなど酸味の強いものと混ぜると苦みが強く出てしまう
具体的な飲み合わせは薬の種類によって異なるため、気になる場合は処方時に医師・薬剤師に確認しておくと安心です。
受診・ご相談の目安
- 初めての食材を与えたあと、じんましんや嘔吐などの症状が出た
- 食物アレルギーが心配で、離乳食の進め方に迷っている
- お薬をどうしても飲んでくれず、治療が続けられない
- 食べ合わせや薬の飲み合わせについて、具体的に相談したいことがある
気になることがあれば、自己判断で我慢せず、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 新しい食材を試すとき、どのくらい間隔をあければいいですか?
明確な日数の決まりはありませんが、症状が出ないかを確認できるよう、2〜3日程度は様子をみてから次の新しい食材を試すと安心です。
Q2. 卵はいつから、どう進めればいいですか?
卵は代表的なアレルギー原因食品のひとつです。よく加熱した卵黄を耳かき1杯程度のごく少量から始め、様子を見ながら少しずつ量を増やしていきます。進め方に迷う場合はご相談ください。
Q3. 「食べ合わせ」の言い伝えは本当に気にしなくていいですか?
うなぎと梅干しのような伝統的な食べ合わせのタブーは、科学的根拠が乏しいとされています。それよりも、新しい食材を1つずつ試すこと、表示義務のある食品を確認することの方が大切です。
Q4. お薬をどうしても嫌がるときはどうすればいいですか?
味や見た目を工夫しても難しい場合は、剤形の変更(粉薬から錠剤へなど)ができることもあります。無理に飲ませようとせず、医師・薬剤師にご相談ください。
Q5. 薬と一緒に酸っぱいジュースを飲ませてしまいました。大丈夫でしょうか?
薬の種類によって影響は異なります。苦みが強く出るだけで問題ないこともありますが、心配な場合は処方元の医療機関または薬局にご確認ください。
まとめ
新しい食材は、昼間の受診できる時間に、少量から、しっかり加熱して、1回に1種類ずつ試すのが基本です。伝統的な「食べ合わせ」の言い伝えを過度に心配する必要はありませんが、1歳未満のはちみつや、お薬と飲食物の組み合わせには注意が必要です。気になることがあれば、早めにご相談ください。
受診のご案内
星空こども・アレルギークリニックは、宝塚市にある小児科・アレルギー科のクリニックです。離乳食の進め方や食物アレルギーが心配な方、お薬の飲ませ方でお困りの方も、まずはお気軽にご相談ください。食物アレルギーについての診療内容はこちらからご覧いただけます。
監修・医師紹介
星空こども・アレルギークリニック 院長 塚本 容子(つかもと ようこ)
日本小児科学会認定 小児科専門医/日本アレルギー学会専門医/エピペン処方登録医/免疫療法薬登録医(舌下免疫療法)/コンサータ・ビバンセ処方登録医(ADHD治療薬)/大阪府発達障がい精神科医師養成研修修了認定
1999年兵庫医科大学卒。神戸大学医学部附属病院小児科・兵庫県立こども病院・神奈川県立こども医療センター・国立成育医療研究センターアレルギー科など、小児医療の中核施設で研鑽を積む。専門は小児アレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・気管支喘息)。所属学会:日本小児科学会・日本アレルギー学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会。
気になる症状は自己判断せず、お気軽にご相談ください。
参考文献
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
摂津市「【こどもの食コラム】離乳食の食物アレルギーの考え方と対応」 https://www.city.settsu.osaka.jp/soshiki/kodomokateibu/shussannikuji/oyakonokenkou/kodomonokenkou/kodomoshoku/20460.html
消費者庁「ハチミツによる乳児のボツリヌス症」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/microorganism_virus/contents_001/
東京都立病院機構「子どもがお薬を飲んでくれないとき、どうする?」
https://www.tmhp.jp/kikou/iryokenkou/minnanoiryokenkou_column_takingmedicine.html
消費者庁食物アレルギー表示に関する情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/