舌下免疫療法は子どもにできる?対象年齢・効果・費用を小児アレルギー専門医がやさしく解説
- 2026年8月7日
- クリニックだより
舌下免疫療法は子どもにできる?対象年齢・効果・費用を小児アレルギー専門医がやさしく解説
毎年つらそうなスギ花粉症や、一年中続くダニによる鼻水・鼻づまり。じつは、お薬で症状を一時的に抑えるだけでなく、アレルギーの原因物質に体を少しずつ慣らしていく「舌下免疫療法」という治療法があり、お子さまも受けることができます。
この記事では、子どもの舌下免疫療法について、仕組み・対象年齢・始める時期・治療期間・効果・副作用・費用の目安・通院の流れを、小児アレルギーを専門とする院長の監修のもと、保護者の方向けにわかりやすく解説します。
「うちの子も受けられるの?」「いつから始めればいいの?」と気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。
舌下免疫療法とは?アレルギーの原因に働きかける治療法

舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を含むお薬を舌の下に置き、体を少しずつアレルゲンに慣らしていく「アレルゲン免疫療法」のひとつです。くしゃみや鼻水などの症状を一時的に抑える飲み薬・点鼻薬とは異なり、アレルギー反応そのものを起こしにくい体質へ近づけていくことを目指す治療法で、アレルギー性鼻炎に対して健康保険が適用されています。
日本で舌下免疫療法ができるアレルゲンは、現在次の2種類です。
・スギ花粉:スギ花粉症(毎年2〜4月頃につらくなる鼻炎・目のかゆみ)が対象
・ダニ:ダニが原因の通年性アレルギー性鼻炎(季節を問わず続く鼻水・鼻づまり)が対象
治療の対象になるかどうかは、まず血液検査などで「本当にスギやダニが原因か」を確認したうえで判断します。ハウスダストによる鼻炎だと思っていたら別の原因だった、ということもあるため、開始前の検査はとても大切です。
何歳からできる?対象となるお子さま
舌下免疫療法のお薬は、5歳未満のお子さまでは臨床試験が行われておらず安全性が確立していないため、一般的にはおおむね5歳以上が目安とされています。年齢だけでなく、次の条件を満たせるかどうかも大切なポイントです。
・舌の下にお薬を置いたまま、約1分間じっとしていられる
・毎日1回、数年間にわたってお薬を続けられる
・体調の変化(口の中の違和感など)を保護者や医師に伝えられる
当院では、これらを無理なく行えることを目安に、5歳のお子さまから受け入れております。「うちの子にできるかな?」と迷われる場合も、まずは診察でご相談いただければ、お子さまの様子に合わせて一緒に判断していきます。なお、お口の中に傷や炎症があるとき、重い気管支喘息をお持ちの場合などは開始を見合わせることがあります。気管支喘息のあるお子さまは、まず喘息の状態を安定させることが優先です。
いつから始める?スギとダニで異なる開始時期

開始できる時期は、スギとダニで異なります。
スギ花粉の舌下免疫療法
スギ花粉が飛んでいる時期(おおむね1月〜5月頃)は、体がアレルゲンに敏感になっており副反応が出やすいため、新たに治療を始めることができません。飛散が終わった6月頃〜11月頃に開始するのが一般的です。翌年春の花粉シーズンに間に合わせるためには、夏〜秋のうちに始めておくことが目安になります。なお、スギ花粉の治療薬は全国的に供給が限られている時期があり、当院でも順番にご案内しています。ご希望の方はお早めにご相談ください。
ダニの舌下免疫療法
ダニは季節を問わず身の回りにいるため、一年中いつでも開始できます。「一年中鼻がつまっている」「ホコリっぽい場所でくしゃみが止まらない」というお子さまは、思い立ったタイミングでご相談いただけます。
治療期間と期待できる効果
舌下免疫療法は、毎日1回、お薬を舌の下に置いて服用を続ける治療です。効果を十分に得るために、3年以上(多くの場合3〜5年程度)の継続が推奨されています。長く続いた治療ほど、終了後も効果が持続しやすいと報告されています。効果の現れ方には個人差がありますが、スギ花粉症では治療開始後はじめて迎える花粉シーズンから、ダニによる鼻炎では開始後数か月頃から、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状の軽減が期待できるとされています。症状が軽くなることで、飲み薬や点鼻薬の量を減らせる可能性もあります。一方で、すべての方に同じように効果が出る治療ではなく、効果を実感しにくい方も一定数いらっしゃいます。「必ず治る」治療ではないことをご理解いただいたうえで、お子さまの症状やライフスタイルに合わせて開始を検討していきましょう。子どものうちに治療を始める意義として、鼻炎症状による睡眠や集中力への影響を減らし、学校生活や受験期を楽に過ごしやすくなることが期待できる点が挙げられます。数年単位の治療だからこそ、時間のある小学生のうちに始めるご家庭も多くいらっしゃいます。
副作用と安全性について

舌下免疫療法はアレルゲンそのものを体に入れる治療のため、副作用が起こることがあります。多くは服用後の口の中のかゆみ・腫れ、のどの違和感、耳のかゆみといった口周りの軽い反応で、治療を続けるうちに軽くなっていくことが多いとされています。
ごくまれに、じんましん・呼吸が苦しい・ぐったりするなどの強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が報告されています。そのため、初回の服用は必ず医療機関内で行い、服用後しばらく院内で様子を確認します。また、服用の前後2時間程度は、激しい運動・入浴などを避けていただくなどの注意点があり、診察時に詳しくご説明します。
服用後に「呼吸がゼーゼーする」「顔色が悪い」「強いじんましんが出た」などの症状がみられた場合は、服用を中止し、すみやかに医療機関を受診してください。当院の院長は日本アレルギー学会専門医であり、舌下免疫療法の免疫療法薬登録医として、開始前の説明から治療中の体調管理まで責任をもって対応いたします。
費用の目安と通院の流れ
費用について
舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎に対して健康保険が適用されます。3割負担の場合、お薬代と診察料をあわせて月々数千円程度が一般的な目安です。さらに、お住まいの自治体の子ども医療費助成制度の対象となる場合は、自己負担がより軽くなります(宝塚市・西宮市など、自治体により制度の内容が異なります)。実際の費用は検査内容などによっても変わりますので、受診時にお気軽にお尋ねください。
通院の流れ(当院の場合の一般的な例)
①初診・検査:問診と血液検査などで、スギ・ダニのアレルギーかどうかを確認します。
②治療の説明:効果・副作用・治療期間をご説明し、ご家族と一緒に開始を決めます。
③初回投与:院内で初めてのお薬を服用し、しばらく体調を確認します。
④自宅での服用:毎日1回、ご自宅で服用を続けます。
⑤定期通院:月1回程度の通院で、体調確認とお薬の処方を行います。
継続が何より大切な治療のため、通いやすいクリニックで続けることがポイントです。当院は阪急仁川駅前にあり、宝塚市・西宮市のどちらからも通っていただきやすい立地です。
こんな症状があればご相談ください
次のようなお子さまは、舌下免疫療法の対象になる可能性があります。一度アレルギー科へのご相談をおすすめします。
・毎年春になると、くしゃみ・鼻水・目のかゆみで学校生活がつらそう
・季節を問わず、鼻づまりで口呼吸になっている・いびきをかく
・鼻炎の飲み薬を長く続けているが、やめると症状がぶり返す
・鼻づまりで夜よく眠れず、日中ぼーっとしていることがある
症状が続く場合は自己判断で市販薬を続けず、医療機関にご相談ください。当院の花粉症の診療案内では、舌下免疫療法を含む花粉症治療の選択肢を詳しくご紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 何歳から始められますか?
お薬の臨床試験の対象から、一般的におおむね5歳以上が目安とされています。当院では、舌の下にお薬を1分間保持できることなどをふまえ、5歳のお子さまから受け入れております。個別の状況は診察でご相談ください。
Q2. 注射のアレルゲン免疫療法とは何が違いますか?
アレルゲン免疫療法には注射(皮下免疫療法)と舌下免疫療法があります。舌下免疫療法は注射の痛みがなく、通院も月1回程度で、ご自宅で続けられることがお子さまに向いている点です。
Q3. スギとダニ、両方のアレルギーがある場合はどうなりますか?
はい、スギとダニの舌下免疫療法は併用(同時に治療)が可能です。ただし、安全性を最優先するため、まずはどちらか片方の治療からスタートします。その後、数ヶ月間問題なくお薬を投与できていることを確認した上で、もう一方の治療を追加します。開始のタイミングや進め方はお子さまの症状や体質によって異なりますので、まずは診察時にご相談ください。
Q4. 花粉の時期に思い立ったら、すぐ始められますか?
スギ花粉の治療は、花粉が飛んでいる時期には開始できず、飛散が終わった6月頃以降の開始となります。ダニの治療は一年中開始できます。「来年の春に間に合わせたい」という方は、夏〜秋のご相談がおすすめです。
Q5. 治療をやめると効果はなくなりますか?
推奨される期間(3年以上)しっかり続けた場合、治療終了後も効果が持続しやすいと報告されています。ただし効果の程度や持続には個人差があります。
まとめ
舌下免疫療法は、スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎に対して、原因のアレルゲンに体を慣らしていくことを目指す保険適用の治療法です。おおむね5歳以上のお子さまが対象(当院では5歳から受け入れ)で、スギは花粉シーズン以外の6月〜11月頃、ダニは一年中開始できます。毎日の服用を3年以上続ける根気のいる治療ですが、症状の軽減により、お子さまの睡眠・集中力・学校生活の質の向上が期待できます。効果や副作用には個人差がありますので、気になる症状が続く場合は、アレルギー専門の医療機関にご相談ください。
受診のご案内
当院(星空こども・アレルギークリニック)では、日本アレルギー学会専門医・免疫療法薬登録医である院長が、お子さまの舌下免疫療法のご相談から治療まで対応しています。阪急仁川駅前にあり、宝塚市・西宮市のどちらからも通いやすい立地です。「うちの子も対象になる?」という段階のご相談も歓迎です。WEB予約またはお電話でご予約ください。
関連情報として、くるみをはじめとした食物アレルギーの動向や、食物をいつから食べさせてよいかの目安、アレルギー科の診療内容もあわせてご覧ください。
監修・医師紹介
院長 塚本 容子(つかもと ようこ)
日本小児科学会認定 小児科専門医/日本アレルギー学会専門医/エピペン処方登録医/免疫療法薬登録医(舌下免疫療法)/コンサータ・ビバンセ処方登録医(ADHD治療薬)/大阪府発達障がい精神科医師養成研修修了認定
1999年兵庫医科大学卒。神戸大学医学部附属病院小児科・兵庫県立こども病院・神奈川県立こども医療センター・国立成育医療研究センターアレルギー科など、小児医療の中核施設で研鑽を積む。専門は小児アレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・気管支喘息)。大阪精神医療センター児童思春期精神科で発達外来を担当(現任・木曜午前)。所属学会:日本小児科学会・日本アレルギー学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会。
舌下免疫療法の免疫療法薬登録医として、お子さま一人ひとりの状態に合わせた治療のご提案を行っています。詳しいプロフィールは院長紹介ページをご覧ください。気になる症状は自己判断せず、お気軽にご相談ください。