舌下免疫療法の費用は月いくら?保険適用と子どもの自己負担を小児科・アレルギー科専門医が解説
- 2026年10月16日
- クリニックだより

毎年つらいスギ花粉症や、一年中続くダニによる鼻水・鼻づまり。お薬で症状を抑えるだけでなく、アレルギーの原因物質に体を少しずつ慣らしていく「舌下免疫療法」という選択肢があります。効果や対象年齢と並んで保護者の方からよくいただくのが、「実際のところ、費用はいくらかかりますか」というご質問です。舌下免疫療法はアレルギー性鼻炎に対して健康保険が適用される治療で、3割負担であればお薬代と診察料をあわせて月あたり数千円程度におさまることが一般的です。この記事では、検査から毎月のお薬代までの内訳、数年続けた場合の総額の目安、こども医療費助成による負担の軽さまで、小児アレルギーを専門とする院長の監修のもとで整理しました。
舌下免疫療法は健康保険が使える治療です
まず前提として、舌下免疫療法は自由診療ではありません。スギ花粉によるアレルギー性鼻炎と、ダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対して、健康保険が適用される治療です。使用するお薬(スギはシダキュア、ダニはミティキュアなど)はいずれも国内で承認され、薬価基準に収載された医療用医薬品ですので、他の保険診療と同じ窓口負担の考え方になります。
「体質に働きかける治療」と聞くと高額な自費診療を思い浮かべる方も多いのですが、実際には毎月の通院と処方が中心の、比較的おだやかな負担で続けやすい治療です。
保険が適用されるための条件
保険で治療を受けるには、次の点を診察で確認する必要があります。
- スギ花粉、またはダニによるアレルギー性鼻炎であることが、症状の経過と血液検査などで確認できていること
- お薬を舌の下に保持し、毎日決まった時間に服用を続けられること
- 重い気管支喘息など、開始を見合わせたほうがよい状態にないこと
「花粉症だと思っていたけれど、調べてみたら別の原因だった」ということもあります。開始前の検査は、治療の効果を左右する大切なステップです。当院で行っている検査については、当院でできる検査のページでもご案内しています。
費用の内訳:どこに、何がかかるのか
舌下免疫療法の費用は、大きく「開始前の検査」「毎月のお薬代」「毎月の診察料など」の3つに分けて考えると見通しが立ちやすくなります。
①開始前の検査費用(初診時)
原因となるアレルゲンを確かめるため、血液検査(特異的IgE検査)を行います。スギ・ダニだけでなく、複数の項目をまとめて調べる検査を選ぶこともあります。3割負担の場合、診察料とあわせて初診日はおおむね5,000〜7,000円程度が目安です。ただし、検査の項目数や、すでに他院で検査を受けているかどうかによって変わります。
過去1年以内に同じ検査を受けている場合は、その結果を持参いただくことで検査を省略できることもありますので、お手元にあればぜひご持参ください。
②毎月のお薬代
舌下免疫療法のお薬は、毎日1回、原則として毎日服用します。2026年8月時点の薬価をもとに計算すると、1か月(30日分)のお薬代はおおよそ次のようになります。
- スギ(シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAU):薬価146.1円/錠。30日分で約4,380円、3割負担で約1,320円
- ダニ(ミティキュアダニ舌下錠10,000JAU):薬価195.5円/錠。30日分で約5,870円、3割負担で約1,760円
治療を始めた最初の1週間は、体を慣らすために少ない量から始めるため、この期間はもう少し安くなります。なお薬価は改定によって変わることがあり、上記はあくまで目安の金額です。
③診察料・処方箋料・調剤薬局での費用
舌下免疫療法は、月1回程度の通院で体調を確認しながらお薬を処方します。この診察料や処方箋料が3割負担でおおむね月500〜900円程度、加えて調剤薬局での調剤料などがかかります。

月あたり・1年あたりの費用の目安(3割負担)
上記をあわせると、3割負担の場合の目安は次のようになります。
- スギまたはダニのどちらか1種類:月あたりおおむね2,000〜2,700円程度
- スギとダニを併用する場合:月あたりおおむね3,500〜4,500円程度
1年間に換算すると、1種類でおおむね24,000〜32,000円程度、併用でおおむね42,000〜54,000円程度が目安です。ここに、開始時の検査費用が初年度のみ加わります。
金額には個人差があり、通院回数や検査の内容、体調によって前後します。「毎月このくらい」という感覚をつかんでいただくための目安としてご覧ください。実際の金額は、受診時に遠慮なくお尋ねください。
なお、スギとダニの併用については、安全性を最優先するため、まずどちらか片方の治療からスタートします。数ヶ月間問題なく投与できていることを確認したうえで、もう一方を追加する進め方です。最初から2種類ぶんの費用がかかるわけではありません。
お子さまは自己負担がさらに軽くなることが多いです
ここが、お子さまの舌下免疫療法を考えるうえで大きなポイントです。上記は3割負担で計算した金額ですが、お子さまの場合はお住まいの自治体のこども医療費助成制度の対象となることが多く、実際の窓口負担はさらに軽くなります。
宝塚市・西宮市をはじめ多くの自治体で助成制度が設けられていますが、対象となる年齢や1回あたりの自己負担額、所得制限の有無は自治体ごとに異なります。詳しくはお住まいの市の窓口やホームページでご確認ください。受診の際は、健康保険証(マイナ保険証)とあわせて医療証をお持ちください。
一方で、調剤薬局でのお薬代が助成の対象になるかどうかも自治体によって異なります。「思っていたより負担が少なかった」という声もあれば、逆のこともありますので、ご不明な点は受付でもご相談いただけます。
3年〜5年続けるとトータルでいくら?
舌下免疫療法は、効果を十分に得るために3年以上(多くの場合3〜5年程度)の継続が推奨されています。長く続いた治療ほど、終了後も効果が持続しやすいと報告されています。
3割負担で1種類を3年間続けた場合、お薬代と診察料をあわせておおむね7〜10万円程度が目安になります。5年間ではおおむね12〜16万円程度です。まとまった金額に見えるかもしれませんが、月あたりに均せば数千円以内であり、こども医療費助成の対象となればさらに軽くなります。
比較の材料として、鼻炎の飲み薬や点鼻薬を毎シーズン使い続ける場合の費用も考えてみてください。症状が出るたびに受診してお薬を使う年月が何年も続くのであれば、長い目で見た負担の差は、多くの方が想像されるほど大きくないことがあります。もちろん、どちらが良いかは症状の重さやご家庭の考え方によって異なります。

費用についてよくいただくご心配
途中でやめた場合、費用はどうなりますか
舌下免疫療法は毎月の処方ですので、まとめて前払いをする仕組みではありません。治療を中止した時点で、以降の費用はかかりません。ただし、途中で中止すると期待していた効果が得られにくくなるため、続けられそうかどうかを開始前によくご相談いただくことが大切です。
効果が出なかったら費用は無駄になりますか
効果の現れ方には個人差があり、すべての方に同じように効果が出る治療ではありません。効果を実感しにくい方も一定数いらっしゃいます。だからこそ、開始前に「どのくらいの期間で、どんな変化が期待できるのか」をご説明し、ご家族と一緒に判断していきます。治療中も定期的に症状の変化を確認し、続けるかどうかを一緒に考えていきます。
保険がきかないケースはありますか
スギ・ダニ以外が原因のアレルギー性鼻炎、あるいはアレルギー性鼻炎以外の症状に対しては、舌下免疫療法は保険の対象になりません。また、検査の結果からスギ・ダニのアレルギーが確認できない場合も、この治療の適応にはなりません。まずは原因を確かめるところから始めます。
通院の交通費や時間も気になります
月1回程度の通院を数年続ける治療ですので、通いやすさは費用と同じくらい大切な要素です。当院は阪急仁川駅前にあり、宝塚市・西宮市のどちらからも通っていただきやすい立地です。学校や園の予定に合わせた通院についても、診察時にご相談ください。
費用の負担を抑えて続けるための工夫
- こども医療費助成の医療証を毎回持参する:更新時期に切り替えを忘れると、いったん3割負担での支払いが必要になることがあります
- 通院を1回で済ませる:きょうだいの受診やほかのご相談とまとめて受診いただくと、通院の負担を減らせます
- 開始時期を計画する:スギ花粉の治療は飛散期(おおむね1〜5月)には開始できず、6月〜11月頃の開始が一般的です。「来年の春に間に合わせたい」場合は、夏から秋のうちにご相談ください。ダニは一年中いつでも開始できます
- お薬を無駄にしない:飲み忘れが続くとお薬が余り、効果も安定しません。毎日の生活の中で続けやすい時間帯を、開始時に一緒に決めていきます
よくある質問(FAQ)
Q1. 結局、月いくらくらいを見ておけばよいですか
3割負担で、1種類の治療であれば月あたりおおむね2,000〜2,700円程度が目安です。お子さまでこども医療費助成の対象となる場合は、これよりさらに軽くなります。検査内容や通院回数によって前後しますので、正確な金額は受診時にお尋ねください。
Q2. 初診の日はいくらかかりますか
診察料と血液検査をあわせて、3割負担でおおむね5,000〜7,000円程度が目安です。検査の項目数によって変わります。他院での検査結果をお持ちの場合は、検査を省略できることがありますのでご持参ください。
Q3. 大人と子どもで費用は違いますか
お薬代・診察料の考え方は同じです。違いが出るのは公的助成の部分で、お子さまはこども医療費助成の対象になることが多く、窓口での負担が軽くなります。
Q4. 何歳から始められますか
お薬の臨床試験の対象から、一般的におおむね5歳以上が目安とされています。当院では、舌の下にお薬を1分間保持できることなどをふまえ、5歳のお子さまから受け入れております。年齢や効果の詳細は、舌下免疫療法は子どもにできる?対象年齢・効果の記事で詳しくご説明しています。
Q5. スギとダニ、両方やると費用は倍になりますか
お薬が2種類になるぶんお薬代は増えますが、診察料は1回の受診にまとまります。また、最初から2種類同時には始めず、片方から開始して数ヶ月後に追加する進め方ですので、費用も段階的に増えていくかたちです。
まとめ
- 舌下免疫療法は、スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎に対して健康保険が適用される治療です
- 3割負担での目安は、1種類で月あたりおおむね2,000〜2,700円程度、スギ・ダニ併用でおおむね3,500〜4,500円程度です
- 初診日は診察料と血液検査をあわせて、3割負担でおおむね5,000〜7,000円程度が目安です
- お子さまはこども医療費助成の対象となることが多く、実際の窓口負担はさらに軽くなります(内容は自治体により異なります)
- 3年間続けた場合の総額は3割負担でおおむね7〜10万円程度が目安ですが、月あたりに均せば数千円以内です
- 金額には個人差があり、検査内容や通院回数で前後します。気になる症状が続く場合は自己判断で市販薬を続けず、医療機関にご相談ください
受診のご案内
星空こども・アレルギークリニックでは、日本アレルギー学会専門医であり免疫療法薬登録医である院長が、舌下免疫療法のご相談から治療まで対応しています。「うちの子は対象になる?」「費用の見通しを知りたい」という段階のご相談も歓迎です。阪急仁川駅前にあり、宝塚市・西宮市のどちらからも通っていただきやすい立地です。
診療内容の詳細はアレルギー科の診療案内をご覧ください。花粉症全般の治療の選択肢については花粉症の診療案内と毎年アレルギーでお悩みの方へ、受診する科に迷われている方は子どものアレルギー性鼻炎は何科を受診する?もあわせてご覧ください。初めての受診の流れは初めての方へのページでご案内しています。
監修・医師紹介
院長 塚本 容子(つかもと ようこ)(日本小児科学会認定 小児科専門医/日本アレルギー学会専門医/エピペン処方登録医/免疫療法薬登録医(舌下免疫療法)/コンサータ・ビバンセ処方登録医(ADHD治療薬)/大阪府発達障がい精神科医師養成研修修了認定)
1999年兵庫医科大学卒業。神戸大学医学部附属病院小児科、兵庫県立こども病院、神奈川県立こども医療センター、国立成育医療研究センターアレルギー科など、小児医療の中核施設で研鑽を積む。専門は小児アレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・気管支喘息)。大阪精神医療センター児童思春期精神科で発達外来を担当(現任・木曜午前)し、乳幼児から小学生の発達相談にも対応。所属学会は日本小児科学会・日本アレルギー学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会。舌下免疫療法の免疫療法薬登録医として、開始前のご説明から治療中の体調管理まで対応しています。
経歴・保有資格の詳細はこちら → 院長紹介ページ
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