ジュース・麦茶の飲み過ぎにご注意!?子どもの水分補給の目安と注意点
- 2026年10月2日
- 星空栄養だより
暑い季節になると、「水分はたくさんとらせたほうがいいですよね」というご質問が増えます。こまめな水分補給はとても大切ですが、何をどれだけ飲むかによっては、かえって体に負担がかかることがあります。また、秋に向けて涼しくなり、スポーツや外遊びがしやすい季節になっていきますが、過ごしやすくなっても体を動かす際の水分のとり方には注意が必要です。ジュースやスポーツドリンクの飲み過ぎで血糖値が上がってしまうこと、そして麦茶であっても量が多すぎると別の心配が出てくることは、あまり知られていません。このページでは、当院の管理栄養士がご紹介している飲みものの選び方に、麦茶や野菜ジュースの注意点、年齢ごとの水分の考え方を加えてご説明します。
ジュースやスポーツドリンクの飲み過ぎにご注意
梅雨が明け、連日猛暑が続いています。汗もかきやすいこの時期、水分補給が欠かせなくなってきましたね。学童期のお子さまも夏休みに入り、家庭で過ごす時間は気持ちにゆとりが出てくるのではないでしょうか。そんな時期だからこそスポーツドリンクやジュースの飲み過ぎにも注意が必要です。
ペットボトル症候群(正式:清涼飲料水ケトーシス)といって、スポーツドリンクなどの糖分を多く含む飲料を大量に飲むことで、血糖値が急激に高くなり、糖尿病が悪化したような状態になってしまうことがあります。こうなると、喉のかわき、多量の尿、吐き気、だるさといった症状が起こり、最悪のケースだと意識障害を起こして倒れてしまうこともあるのです。
目安として大人の場合、毎日1.5リットル以上の甘い飲料を飲んだ時に「ペットボトル症候群」が起きると報告されていますが、大人に比べて体重が軽い子どもは、より少ない量でも「ペットボトル症候群」になる可能性があるので、注意が必要です。一般的なスポーツドリンク500ミリリットルの中には約30〜40グラム(大さじ約3〜4杯)の糖が含まれているので、大人でも運動中に飲む場合は水で薄めることをすすめています。水や麦茶もありますが、運動中に飲む場合は経口補水液を薄めても良いです。
しかし、運動中ではなく日常の水分補給であれば、子どもも大人も水や麦茶で十分です。スポーツドリンクだけでなく、甘い炭酸飲料や清涼飲料水にはさらに多量の糖が使われています。できれば子どもには飲ませず、大人であっても毎日飲むのは避けたほうがいいでしょう。
飲みものに含まれる糖の量(角砂糖に換算すると)
参考までに角砂糖の量を下記に記載しますね。
- コーラ(ファンタも同様)500ml 約17個
- カルピス(りんごジュースも同様)500ml 約16個
- フレーバーウォーター(いろはすなど)500ml 約8個
- スポーツドリンク 500ml 約8個
- 野菜ジュース 200ml 約4個
- 乳酸菌飲料(ヤクルトなど)65ml 約4個
また清涼飲料水に限らず、お菓子やアイスクリームなども、パッケージ裏の原材料を見て「果糖ぶどう糖液糖」などの表示はありませんか。こちらは砂糖に比べ、少量でもしっかり甘味が感じられる性質があります。これらは体内で過剰な糖として変換され、肥満や脂肪肝の原因になることが報告されています。近年、日本の子どもの約5%が脂肪肝というデータもあり、高学年以降のお子さんも甘いもののとり過ぎには十分注意が必要です。なお、世界保健機関(WHO)は、砂糖などの遊離糖類の摂取を1日の総エネルギーの10%未満に、できれば5%未満にとどめることをすすめています。飲みものは食べものと違って満腹感が得られにくいため、気づかないうちに糖の摂取量が増えやすい点に注意が必要です。

麦茶の飲み過ぎは大丈夫?
日常の水分補給には水や麦茶が適していますが、「麦茶なら何リットル飲んでも平気」というわけではありません。ご相談の多いポイントを整理します。
麦茶が水分補給に向いている理由
麦茶は大麦を原料としたお茶で、カフェインを含みません。緑茶やほうじ茶、ウーロン茶と違って、乳幼児にも使いやすい飲みものです。味にくせが少なく、砂糖も入っていないため、日常のこまめな水分補給には適しています。
気をつけたいこと
- 食事や授乳の量が減ってしまう。麦茶でおなかがふくれてしまうと、離乳食やミルク、食事の量が減り、必要な栄養がとりにくくなることがあります。とくに乳児期は、鉄などの不足につながる心配があります。
- 短時間に大量に飲むと、体のバランスが崩れることがある。麦茶にはナトリウムなどの電解質がほとんど含まれていません。汗を大量にかいた状態で麦茶や水だけを大量に飲むと、血液中のナトリウムが薄まり、頭痛や吐き気、ぐったりする、けいれんといった症状が出ることがあります。小さなお子さまほど体の水分バランスが変わりやすいため、注意が必要です。
- 大量に汗をかいたときは麦茶だけに頼らない。運動時や炎天下で活動したとき、発熱や嘔吐・下痢で水分が失われているときは、塩分や糖分を適切に含む経口補水液が適しています。
- 冷たいものを一度にたくさん飲まない。おなかを冷やして食欲が落ちたり、腹痛の原因になったりすることがあります。常温か、少し冷たい程度がおすすめです。
- 作り置きの衛生管理に気をつける。麦茶は糖質を含むため、雑菌が増えやすい飲みものです。清潔な容器で作り、冷蔵庫で保管して、その日のうちから翌日までに飲みきるようにしましょう。水出しよりも煮出しのほうが安心です。
- 月齢の低い赤ちゃんには急がない。離乳の開始前の赤ちゃんにとって最適な栄養源は乳汁(母乳または育児用ミルク)であり、離乳開始前に果汁やイオン飲料を与える栄養学的な意義は認められていないとされています(こども家庭庁「授乳・離乳の支援ガイド」)。離乳の開始は生後5〜6か月頃が適当とされていますので、麦茶もそれ以降に、少量ずつ様子をみて取り入れていくとよいでしょう。
「1日にどれくらいまで」という一律の上限があるわけではなく、必要な量は年齢・体格・気温・活動量によって大きく変わり、個人差があります。食事がしっかり食べられていて、おしっこが普段どおり出ていて、機嫌がよければ、おおむね足りていると考えてよいでしょう。
野菜ジュースの飲み過ぎも注意が必要です
「野菜が苦手なので、野菜ジュースで補っています」というお話もよく伺います。まったく無意味ではありませんが、いくつか知っておいていただきたい点があります。
まず、上の一覧のとおり、野菜ジュース200mlには角砂糖約4個分の糖が含まれています。果汁を加えて飲みやすくしている商品も多く、思っているより甘い飲みものです。毎日何本も飲めば、それだけ糖の摂取量が増えます。また、製造の過程で食物繊維が減ってしまう製品が多く、噛んで野菜を食べる場合とは体への入り方が異なります。飲みものは血糖値が上がりやすく、満腹感も得にくいという特徴があります。さらに、野菜ジュースでおなかが満たされてしまうと、食事そのものが進まなくなることがあります。野菜が苦手なお子さまの場合、「野菜ジュースがあるから大丈夫」と考えて、野菜を食べる練習の機会が減ってしまうこともあります。
野菜ジュースは「野菜の代わり」ではなく、あくまで補助として、1日にコップ1杯程度までを目安に考えていただくとよいでしょう。この点については野菜ジュースは野菜の代わりになる?の記事でも詳しくご紹介しています。

年齢や場面に合わせた飲みものの選び方
- 日常の水分補給:水、麦茶
- 運動中や大量に汗をかいたとき:経口補水液(必要に応じて薄める)、スポーツドリンクを薄めたもの
- 発熱・嘔吐・下痢のとき:経口補水液を少量ずつこまめに
- 食事のとき:水、麦茶。甘い飲みものは食欲に影響することがあります
- おやつのとき:甘い飲みものを毎日の習慣にしないことが大切です
必要な水分量の考え方についてはお子さまに必要な水分量、ご存じですか?、経口補水液はご家庭でも作れますので手作り経口補水液の作り方もあわせてご覧ください。夏場の過ごし方は熱中症にご注意!!早めの夏バテ対策をでもご紹介しています。
こんなときは受診をご検討ください
- 水分をとってもぐったりしている、機嫌が戻らない
- おしっこの回数や量が明らかに減っている、色が濃い
- 唇や口の中が乾いている、涙が出ない
- 嘔吐や下痢が続き、水分がとれない
- 頭痛や吐き気があり、けいれんを起こした
- のどのかわきが強く、たくさん飲むのにおしっこも多い状態が続いている
- 体重の増えがゆっくりになってきた、食事量が減っている
とくに最後の2つは、飲みものの内容だけでは説明のつかない体の変化が隠れていることもあります。気になるときは小児科までご相談ください。嘔吐や下痢が続く場合は感染性胃腸炎のページもご参照ください。
よくある質問(FAQ)
赤ちゃんに麦茶はいつから飲ませていいですか。
離乳の開始前の赤ちゃんにとって最適な栄養源は乳汁(母乳または育児用ミルク)とされています。離乳の開始は生後5〜6か月頃が適当とされていますので、離乳食が始まってから様子をみながら少量ずつ取り入れていくのが一般的です。麦茶を必ず与えなければならないわけではありません。
麦茶を1日1リットル以上飲んでいます。多すぎますか。
年齢や体格、気温、活動量によって適量は大きく変わるため、一律の答えはありません。食事が食べられていて、おしっこや機嫌に変わりがなければ大きな心配はいりませんが、食事量が減っているようであれば量を調整してみてください。
スポーツドリンクは毎日飲ませてもいいですか。
日常の水分補給であれば水や麦茶で十分です。スポーツドリンクは運動時など必要な場面にとどめ、飲む場合も薄めることをおすすめします。
野菜ジュースは野菜の代わりになりますか。
補助にはなりますが、代わりにはなりません。食物繊維が減っている製品が多く、糖も含まれます。1日にコップ1杯程度までを目安にしてください。
甘い飲みものを欲しがって困ります。
まずは家に置かないこと、食事やおやつのときの飲みものを水や麦茶に固定することから始めてみてください。無理にゼロにしようとするより、回数や量を決めるほうが続きやすいことが多いです。ご家庭の状況に合わせたご提案もできますので、栄養相談をご利用ください。
まとめ
こまめな水分補給は大切ですが、「何を」「どれだけ」飲むかによって体への影響は変わります。甘い飲みものを毎日たくさん飲むとペットボトル症候群や肥満、脂肪肝につながる心配があり、一方で麦茶であっても、食事量が減るほど飲んだり、大量に汗をかいた状態で麦茶だけを飲んだりすると別の負担がかかることがあります。日常は水や麦茶を基本に、運動時や体調不良時は経口補水液を使い分ける。野菜ジュースは野菜の代わりではなく補助と考える。この2点を意識していただくだけでも、ずいぶん違ってきます。こまめな水分補給を心掛け、猛暑も楽しく過ごしましょう。
受診のご案内
星空こども・アレルギークリニックは、阪急今津線「仁川」駅東口から徒歩約30秒、甲東園駅からも徒歩約10分の小児科・アレルギー科です。宝塚市・西宮市を中心に、日々の食事や体調のご相談を承っています。お食事相談・離乳食相談実施中。毎週水曜日14:30〜16:00。ご予約の方優先となりますが、空きがあれば当日でも大丈夫です。管理栄養士による栄養相談もご利用ください。はじめて受診される方は初めての方へ、道順はアクセスをご覧ください。ご予約は24時間ネット予約から承っております。
監修・医師紹介
院長 塚本 容子(つかもと ようこ)(日本小児科学会認定 小児科専門医/日本アレルギー学会専門医/エピペン処方登録医/免疫療法薬登録医(舌下免疫療法)/コンサータ・ビバンセ処方登録医(ADHD治療薬)/大阪府発達障がい精神科医師養成研修修了認定)
1999年兵庫医科大学卒。神戸大学医学部附属病院小児科・兵庫県立こども病院・神奈川県立こども医療センター・国立成育医療研究センターアレルギー科など小児医療の中核施設で研鑽を積み、小児アレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・気管支喘息)を専門としています。大阪精神医療センター児童思春期精神科で発達外来を担当(現任・木曜午前)し、乳幼児から小学生の発達相談にも対応しています。所属学会は日本小児科学会・日本アレルギー学会・日本小児精神神経学会・日本小児心身医学会です。水分のとり方は、季節や体調によって適切な量も内容も変わります。気になる症状は自己判断せず、お気軽にご相談ください。
経歴・保有資格の詳細はこちら → https://hoshizora-kodomo.com/doctor/
参考文献
- こども家庭庁「授乳や離乳について(授乳・離乳の支援ガイド)」
https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/junyuu/ - 世界保健機関(WHO)「Guideline: Sugars intake for adults and children」
https://www.who.int/publications/i/item/9789241549028 - 厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)「肥満と健康」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-001.html - 厚生労働省「熱中症関連情報」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/index.html - 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html